持続化給付金の給付実績

持続化給付金は2020年(令和2年)5月1日から受付が開始され、翌年(令和3年)2月15日まで受付が行われていました。持続化給付金の申請は約441万件の申請があり、約424万件の中小企業・個人事業者に約5.5兆円が給付されています。

不正受給の公表

経済産業省・中小企業庁による持続化給付金の不正受給認定者については、令和3年5月に初めて正式な公表が行われ、その事業区分のすべてが個人事業主でした。不正受給の調査は委託によって現在も行われていますが、令和3年8月10日に、初めて1件の法人の不正受給が公表されています。同時点での個人事業主の不正受給件数は312件でとなっています。(令和3年8月20日時点で不正受給の認定数は353者)

なお、不正受給の内容は全て「確定申告書類等の申告書類の偽造」と公表されており、それ以上の不正内容は明確ではありませんが、これら不正受給の発表上では、

  1. 事業を実施してないのにもかかわらず申請する。
  2. 各月の売上を偽って申請する。
  3. 売上減少の理由が新型コロナウイルスの影響によらない場合は給付対象とならないことを認識しつつ、申請する。
    (季節性のある事業において、意図的に通常事業収入を得られる時期以外を対象月として申請することを含む)

これらすべては不正受給であり犯罪との説明をしていることから、これらを内容とする不正受給は実際にも多いものと捉えられます。とくに事業の実施については、持続化給付金に続く位置づけといえる一時支援金および月次支援金では、その申請前に必須となった「事前確認」制度でその確認が強化されていることからも、不正受給の原因であるのは明らかです。

不正受給の自主返還(持続化給付金)

誤って申請をしてしまったなどの恐れがあるなどとして、令和3年8月12日時点で、持続化給付金の返還申し出件数が19,258件あり、そのうちの13,932件は返還済みと公表されてります

そして、経済産業省では、不正受給者には、加算金と延滞金を課すが、中小企業庁の調査開始前の自主返納には原則として加算金と延滞金を課さないとしており、「不正受給及び自主返還」といったような並列的な記述もある事から、自主返納者は不正受給の認定までには至らないものと考えられます。

もっとも、自主返納がすなわち摘発(警察などの捜査機関による)から免れることという事にはなりません。

刑事告発や警察の摘発

経済産業省によれば、事案によっては詐欺罪での刑事告発を行う場合もあるとされていますが、これはあくまでも「経済産業省による警察署長などに対する刑事告発」という意味であって、事案によっては刑事告発がなされないことを意味します。刑事告発がなされないのは、すでに摘発されているか、摘発される要件を具備していないかのいずれかであると思われます。

つまり、不正受給でも事案によれば刑事告発(犯罪の事実を捜査機関などに伝えること)が行われないという事であって、犯罪としての摘発が免れるわけではありません。そして、違法の認識の有無が(要件を具備した)告発につながるものだと思います。

警察庁の調べでは、持続化給付金に関する初の摘発が山梨県警で令和2年7月にあって以来、全国では同年末月までに270名、翌年2月には500名を超える詐欺罪等での摘発があったとされています。

さらに、このころから摘発件数は急増し、その摘発数は令和3年7月の時点で1300件を超えているともいわれています。もっとも、これには犯罪に関与した者や詐欺未遂も含まれていることから、摘発の件数がただちに不正受給の者の数ということにはなりません。

(不正と摘発)

不正受給と犯罪としての摘発の基準は明らかに異なる上に、そもそもその概念が異なります。そのもっとも大きな違いは、申請者でいえば、その本人に不正の認識が在るか無いかというところです。

どういうことかといえば、不正受給は持続化給付金の規程に反して受給した者の全てがこれに該当します。しかし、犯罪(詐欺罪)の摘発には、その者が不正(偽った申請)であるという認識をしていなければ困難で、特に物証となる書類などの明らかな偽造が無ければ摘発が行えないとまでは言わないまでも、その対象とはされにくいといえます。

最後に

ここまでの記述はその数字や時期を備忘する程度にとどめる感覚で書き連ねましたが、私見を述べると、現在、中小企業庁が支援金の申請者に対して、口頭も加えた「不正の認識確認」を幾度も行っているのは、不正の認識があるという「知らなかった」ではすまされないという事実を作るべく強い姿勢を見せるためだと感じます。

ちなみに、口頭で勘違いが無いか不正の認識を確認する事前確認でという制度概要では「誤って受給するのを防ぐため」に行うための制度だと説明されています。